外国人の人権② 外国人に保障される人権と保障されない人権

 

外国人に保障される人権

(1)思想・信教の自由・言論・表現の自由

   権利の性質上、外国人にも保障が及びます。

(2)裁判受ける権利・刑事手続きの権利

   人身の自由は不法入国者であっても保障されます。

(3)出国の自由

   判例は外国人の出国につき「憲法22条2項にいう外国移住の自由は、その権利の性質上外国人に限って保障しないおいう理由はない」としています。外国人の外国移住の自由は保障される。

 

外国人に保障されない人権

(1)参政権(選挙権・被選挙権)【H12国2,H16地上,H20地上】

国政レベル・・・国会議員を選べるのは日本国民だけです

地方レベル・・・在留外国人のうち永住者等であって、その居住する地方公共団体と特段に厳密な関係を持つに至ったと認められる者について、法律をもって、地方公共団体の長、地方公共団体の選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されてはいない。

公務就任権・・・外国人は公務員になることが保障されてますか?という問題です。公権力の行使等にかかわる公務員への就任権は、国民主権の見地から日本国民に保障される権利であり、外国人には保障されません。ただ、国家公務員にはなれないですが、最近は地方公務員では一定の職種に限って外国人も就任できるようです。→憲法上保障はされませんが・・・

(2)社会権

生存権などは原則保障されません。社会権は後国家的権利であるから、本来、各人の所属する国によって保障されるべきです。したがって外国人には保障されません。

国のお金に余裕があれば保障するけど~日本人の生活を支えるもの大変なのに~って感じです。

(3)入国の自由【H16国1,H16地上,H20地上】

判例は「国際慣習上、外国人の入国の拒否は当該国家の自由裁量により決定し得るものであって、特別の条約が存しない限り、国家が外国人の入国を許可する義務を負わない」としています。わが国(日本)への亡命権は憲法上の権利として認められていない。

(4)再入国の自由

入国の自由が外国人に保障されていないと同様に、再入国の自由も保障されない。

判例 森川キャサリーン事件(最大判H4.11.16)【H12国2,H16国1,H23国1】

事案:日本人と結婚した森川キャサリーンさんが、韓国に旅行する計画を立て再入国許可申請をしたところ、過去に指紋押捺を拒否した理由で不許可にされたので、旅行いけないじゃないですか(# ゚Д゚) と訴えました。

判旨:我が国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行する自由を保障されているものではない。したがって、外国人の再入国の自由は、憲法22条により保障されない。

日本からは自由に出れるけど、海外旅行に行くと日本に戻れるかどうかは、審査がいるんですね~ 在留資格があるので、再入国はゆるくしてもいいかなっていう意見もありますが・・

 

判例 塩見訴訟最判H元.3.2)【H12国2,H20地上,H23国1】

事案障害福祉年金の受給を請求した者が、障害認定日に日本国民でなかったことを理由に請求を棄却され(# ゚Д゚) 訴えました。

判旨社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、その政治的判断によりこれを決定することができるのであり、その限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たり、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも、許されるべきことと解される。
法81条1項の障害福祉年金の支給対象者から在留外国人を除外することは、立法府の裁量の範囲に属する事柄と見るべきである。

国籍を理由に社会保障の給付をしなくても、憲法25条、14条1項の規定に違反しない。