憲法14条 法の下の平等② 

 

平等原則の具体化

判例 尊属殺重罰規定違憲判決(最大判S48.4.4)【H18国税,H24国1】

事案:被告人Aさんは、10年以上父親と夫婦同様の生活を強制され父親との間に子供も生まれた。Aさんは、正常な結婚の機会もあったが、父親に邪魔され、ふつうの生活をするためには父親を殺すしかないと感じ、暴言を受けた時にとっさに殺害した。当時の刑法200条では、尊属殺人は死刑または無期懲役刑のみであり、法の下の平等を定める憲法14条に違反するじゃないですか(# ゚Д゚)と訴えました。

 

判旨最高裁は、尊属に対する尊重報恩は、社会生活上の基本的道義というべく、このような自然的情愛ないし普遍的倫理の維持は、刑法上の保護に値するものであり、尊属の殺害は通常の殺人と比して一般に高度の社会的道義的非難を受けて然るべきであるとして、刑法200条の立法目的は合理的な根拠を欠くものと断ずることはできないとして憲法14条に違反しないとした。しかし、刑法200条は、尊属殺の決定刑を死刑または無期懲役刑にのみ限っている点において、その立法目的達成のため必要な限度を遥かに超え、普通殺に関する刑法199条の法定刑に比して著しく不合理な差別的取扱いをするものと認められ、憲法14条1項に違反して無効である。

ポイント:子供が親を殺すことは絶対許せないことなので、親を殺したら他の人を殺すときより罪を重くするという法律(刑法)をつくる目的は分かりますよって裁判官は言ってます。ただし、親を殺したら、どんな理由があっても死刑か無期懲役刑になってしまうのはやりすぎでしょって感じです。今回の判例もひどい事件ですよね。

ちなみに、尊属に暴力をふるった場合等の傷害致死罪(刑法205条2項)については、憲法に違反しないとのことです。この違いも大切です。